行政書士試験の記述式について【採点基準や配点、勉強方法を解説】

 行政書士試験では記述式問題があり、3問で60点分の配点があります。

 記述式の採点の結果によって合否を分けることが多く、得点できるようにしたいところです。

 この記事では、行政書士試験の記述式問題の採点基準や配点、勉強方法について解説します。

行政書士試験の記述式について

 冒頭でも説明したとおり、行政書士試験の記述式は3問60点分があります。

内訳は行政法1問民法2問となっています。

以下に近年の出題をまとめましたが、同じ問題が出されないだけでなく出題分野についても統一性はありません。

 

●行政法
令和3年:行政手続法:処分等の求め
令和2年:行政事件訴訟法:無効等確認の訴え
令和元年:行政手続法:処分等の求め
平成30年:行政事件訴訟法:不作為の違法確認訴訟
平成29年:宝塚パチンコ店建設中止命令事件(最判平成14年7月9日)を題材とした問題
平成28年:地方自治法、秩序罰

 

●民法
令和3年:譲渡制限特約付き債権の譲渡
令和3年:土地工作物責任
令和2年:相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合の意思表示の取消し
令和2年:背信的悪意者
令和元年:共有物
令和元年:第三者のためにする契約
平成30年①:成年後見人に対する追認、催告に関する問題
平成30年②:譲与契約
平成29年①:債権の譲渡
平成29年②:不法行為による損害賠償請求権
平成28年①:抵当権
平成28年②:親族、離婚の財産上の法的効果

 
 

 つまり過去問を解いて答えを覚えたとしても、同じ問題が再出題される可能性はほぼ無いので、記述式を過去問中心に学習することは辞めたほうが良いです

しかしながら、記述しないことには記述式問題を得点できるようにはなりません。

そのため、記述式問題集で解く練習をするなどして、記述式の対策するのが必須となります。

 

記述式問題の採点基準や配点について

 行政書士試験の記述式問題は行政法、民法のどこの分野から出題されるか分からないからという理由で、記述式対策をしないのは得策ではありません。なぜなら記述式問題には部分点があります。つまり、20点か0点という採点ではないので、まずは部分点を狙えるように対策をしていきましょう。

 

 ただし、基準点の採点基準は公表されていなくブラックボックスです。
噂によると、合格者数を調整する役割があると言われており、採点が甘かったり、激辛採点だったりするようです。

例えば、解答例として

「Aは、BがCの詐欺を知り、又は知ることができたときに限り契約を取り消すことができる」

 

これは相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合の意思表示の取消しに関する回答例として記載しましたが、

 採点するのであれば、

Aは、BがCの詐欺を知り、…6点
又は知ることができたときに限り…6点
契約を取り消すことができる…4点
④40字程度であること…4点

 

などから誤字・脱字などの減点などがあると思われます。

 ただし、明確な採点基準が公表されておらず、年によって採点が厳しかったり甘かったというするので、甘い年は今の配点例のキーワードをより分割して、採点されるようにしたり、逆に調整して採点を厳しくということが推定されます。

記述式問題の勉強方法について

 行政書士試験の記述式問題の学習を開始する時期は、行政書士試験の記述式の科目である「行政法」と「民法」の択一式問題の学習が一通り終えてからのタイミングで学習することをおすすめします。

 

 始めから同時進行で学習していっても良いですが、上手く記述式問題を回答できずに勉強への焦りが生じる可能性が高いです。

 

 経験上ですが、学習を一通り終えたとしても正直なところ解くことは難しいです。

 

 記述式問題を解けるようになるには、記述式問題をひたすら解いていくといったやり方で学習しなければ、解けるようになりません。

 

 英語の学習で例えるなら、五肢択一式問題はREADINGの学習で、記述式の問題はWRITINGの問題です。READINGの問題集で解いていっても、 WRITINGの能力が全く身につかないわけではないですが、効果は薄いことは容易に想像がつくことでしょう。

 

私の行政書士試験の受験経験を踏まえての記述式問題の勉強方法は次のとおりです

①1周目、解答例は記述する。

 五肢択一式問題対策をしても、行政書士試験の記述式問題は解けるようにはなっていません。理由は前述の通りですが、まずは解答の型を覚える必要があるからです。

 1周目に問題集の問題を実際に解いてみても解答を書けないというのが現状と思われます。(少なくとも私の場合はそうでした。)

 解答を書くプロセスのみでもかなりの時間を要します。さっと問題文を読んで即答できそうであれば解答する。そうでなければ、すぐに解答例を記述し解説に目を通す。という感じで進めていくとそこまで時間はかかりません。

②2周目以降:記述と読み込みを使い分ける。

 問題集を1周終える頃には、解答の型が身について来る頃になりますが、まだ完答するレベルには至れません。

 行政書士試験の問題は1回解けば覚えれるようなものではなく、繰り返して定着させる必要があります。

 そうは言いつつも、記述式問題をひたすら書き続けるにしても時間がかかり過ぎますので、時間を短縮するための工夫が必要になります。

 

📔記述式の学習で時間短縮するための工夫

(1)パソコン等を利用して、解答を打ち込む
・タイピングが書くより遅い場合は対象外になりますが、私は記述式の解答をパソコンで打ち込んで解答していくというやり方もしていました。書くことによる手の疲れを減らした上で問題集を早く進める点では良いやり方でした。

(2)問題集を読み込む
・問題集を読み込んで学習するやり方です。ひたすら問題文を読んで、解答を頭に浮かべて解説を読むと言う学習方法で、筆記用具を持てない通勤時間などで活用した学習方法です。

7回読み勉強法」という学習方法もある位なので、やり方としては効果的と言えるでしょう。

 
 
 

行政書士試験記述式問題集について

行政書士試験対策用のテキストについては、市販で販売されているものでは、次のような教材が販売されています。

行政書士試験を合格するためには合格した方を参考にするのが近道です。

そこで、行政書士試験を合格した方はどのような記述式対策問題集を使用していたのか。インターネット上で合格者が使用した調査しました。

今回調査した行政書士対策用記述式問題集

●早稲田経営出版
合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集

●東京リーガルマインド LEC総合研究所 行政書士試験部 (編集)
2022年版 出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集 

●TAC行政書士講座 
みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集

●資格の大原
行政書士 トレーニング問題集 3記述式・多肢選択式

※調査した教材については、2021年度対策用に販売されている記述式問題集に限定しております。
※合格者が使用していた調査件数:20件(インターネット上で収集した情報になります。)

 

行政書士試験の記述式問題集ランキング

 
行政書士試験の記述式対策の問題集は2021年で市販で販売されているものは4種類ほどになります。
 
 

行政書士試験の記述式の問題集はどのようなものがあるのでしょうか。

1位 出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集

📒「出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集」の特徴

✅合格者が使用していた行政書士試験記述式問題集ランキング1位
  👉 合格者が使用していたテキスト調査件数:20件中8件

amazon試し読み可能
2020年度行政書士記述式・多肢選択式問題集No1
✅本の長さ;272ページ
✅価格;1650
✅問題数について
👉記述式 行政法:32題 民法:64題 

👉多肢選択式 憲法:12題 行政法:18題
すべてオリジナル問題
2020年度は問45の問題をズバリ的中
 

行政書士試験の合格者が使用していたテキストNo1はLEC出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集」です。

 他の記述式問題集は過去問+オリジナル問題で構成されている中、本書はすべてオリジナル問題で構成されています。行政書士試験の記述式問題は、過去と同じ問題は出題されておりません。つまり、オリジナル問題を多く取り組んでいく方が記述式問題で得点できる可能性が高くなります。

行政書士試験の市販の模試を見て頂ければ、すぐに分かりますがどの出版社も予想模試も的中させたことアピールしていますが、記述式問題集については、「出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集」のみが的中させたことを公表しています。

もし、本試験の記述式を的中率が一番高いのはこの教材であると断言できます。

なぜなら、すべてオリジナル問題の構成で再出題されることのない過去の記述式問題を省き問題数もTOPクラスであるため、他の記述式対策問題集とは圧倒的に数が違うからです

それゆえに、「020年度は問45の問題をズバリ的中」については納得いく結果とも言えます。

📝口コミを紹介

青黒の二色刷り
見開き完結型の問題集です。
基本レイアウトは左に問題文、右に解答解説
特に40字記述式の回答例は、端的にしかも簡単な言葉を使ってるので
丸暗記しやすいなと思いました。
どうしても難しくなってしまう解説については文字の羅列になっていますが
ここは文字色を変えて、アクセントと重要部分のメリハリを付けています。
どのページも記載順を変えていないので、勉強のリズムを取りやすく
すっごく勉強しやすいなって思いました。
このリズムっていうのは重要で、いろんなことを問題によって変えてくるレイアウトより
自分の頭の準備が出来るので進みと覚えが早いんですよね♪
巻末には練習問題の解答用紙も収録してくれています。
本気で取り組むならこの一冊だなって、そう思いました。
出典:Amazon

📒アマゾン評価

  • カスタマーレビュー数(2020年)
    ➡47件
  • カスタマー評価(2020年)
    ➡星5つ中の4.3

 

出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集」の詳細を見る

2位 合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集

📒「合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集」の特徴

✅合格者が使用していた行政書士試験記述式問題集ランキング2位
  👉 合格者が使用していたテキスト調査件数:20件中6件

amazon試し読み可能
✅本の長さ;272ページ
✅価格;1650
✅問題数について
👉記述式 行政法:20題 民法:40題 

👉多肢選択式 憲法:10題 行政法:20題
本試験同様の事例形式のオリジナル問題で演習
 

行政書士試験の合格者が使用していたテキストNo2は早稲田経営出版合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集」です。

 本書もオリジナル問題が豊富で人気の教材となっております。

 基礎編応用編に分かれており、基礎編では穴埋め問題応用問題では記述多肢選択式の予想問題で構成されています。

 基礎編→応用編へ移ることで、記述式対策の前準備はできるものの、基礎編もページ数がありその影響も受け記述式問題は合計60題の構成となっています。

 

📒アマゾン評価

  • カスタマーレビュー数(2020年)
    ➡2件
  • カスタマー評価(2020年)
    ➡星5つ中の5

 

「合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集」の詳細を見る

3位 みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集

📒「みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集」の特徴

合格者が使用していた行政書士試験記述式問題集ランキング3位
  👉 合格者が使用していたテキスト調査件数:20件中4件

✅本の長さ;432ページ
✅価格;1760
TAC作成の記述式オリジナル問題
 

行政書士試験の合格者が使用していたテキストNo3はTAC出版みんなが欲しかった40字記述式問題集」です。

商品説明のページには「解法テクニック&過去+予想問題で記述式対策は万全!」と唱ってあるように出題形式別の記述式解答のテクニックが学べます。

 

📝口コミを紹介

解説が丁寧で、問いの狙いも説明してくれるので、記述式以外にも応用がききます。民法については、改正に対応しているだけでなく、出題歴に対する改正箇所の一覧表があり、重宝します。
出典:Amazon

📒アマゾン評価

  • カスタマーレビュー数(2020年)
    ➡21件
  • カスタマー評価(2020年)
    ➡星5つ中の4.3

 

「みんなが欲しかった40字記述式問題集」の詳細を見る

4位 行政書士 トレーニング問題集 3記述式・多肢選択式 

 

📒「行政書士 トレーニング問題集 3記述式・多肢選択式 2022年対策 (合格のミカタシリーズ)」の特徴

合格者が使用していた行政書士試験記述式問題集ランキング4位
  👉 合格者が使用していたテキスト調査件数:20件中2件

✅本の長さ;592ページ
✅価格;2200
 

 こちらの教材については、資格の大原が出版されている記述式対策の問題集になります。

 この教材のおすすめのポイントとして、キーワードの暗記⇒本試験形式の記述プロセスに移行できるという点が良いところです。

行政書士試験の記述式問題には部分点が存在します。

 記述式で部分点を取るためにはキーワードが解答に入っていることが必要ですので、本書で学習していくと、まずは部分点から得点を狙っていくといった感じに学習していくことができるようになりそうです。

 私は資格の大原市販の記述式問題集を使用していました。しかし、今回の調査の結果では少数派の様でした。

📝口コミを紹介

通信教育の教材をはじめ、各社の問題集で苦手な記述式対策を続けていましたが、なかなか良い結果がでず、4回目の受検となった令和元年の受検。今年もダメかと試験が終わった後、半ばあきらめていましたが、自己採点以上に記述式の点が取れていて、お陰様で合格することができました。貴社の問題集のおかげです。お世話になりました。
出典:https://www.amazon.co.jp/
※2020年度版の口コミです

📒アマゾン評価

  • カスタマーレビュー数(2020年)
    ➡5件
  • カスタマー評価(2020年)
    ➡星5つ中の3.9

 

行政書士試験の記述式問題集について調査して分かったこと

今回、合格者が使用した行政書士試験の記述式問題集を調査するにあたって次のようなことが分かりました。

オリジナル問題数が豊富なものが人気

行政書士試験の記述式問題集についてはオリジナル問題(予想問題)が多いものが人気がありました。これは、記述式問題で同じ記述式問題の再出題が無いことが影響していることと考えられます。

その影響があるのか、記述式問題集の数も減って言っていることと思います。

ネットで調べると、古い記述式の問題集も販売されており、試し読みができるもので目次を見てみると過去問も多く掲載されているものがありました。これはニーズがオリジナルの予想問題が多く掲載されている記述式問題集が求められていることを指しており、オリジナル問題を作成するにあたっては、過去問を流用しない分コストが掛かることで撤退する問題集が多くなったと思われます。

記述式問題集を複数使用している人もいれば、使用しないで合格する人もいる

 今回の調査で、記述式問題集を複数使用している人もいれば、使用しないで合格している人もいるということが分かりました。

 私自身の受験経験から記述式問題集による対策は必須と考えています。

 ただし、法学部で司法試験の合格を目指すような方も稀に受けることがありそういった方は論文式の学習もしているので、40字記述式問題は対策しなくても解ける問題なのかもしれないです。

まとめ

今回の記事では、

  • 記述式の採点基準や配点
  • 記述式問題集の学習方法
  • 記述式問題集の種類

について解説してきました。

記述式問題は行政書士試験の配点も高く得点できるようになれば、合格に大きく近づきますので攻略していきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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