行政書士試験の合格率が低い理由について なぜ正解率が6割も取れないのか

行政書士試験は正解率を6割取れれば合格できる試験です。

 

そのうえ、300満点中240点は選択式の問題で、マークシートで適当に答えても正解できることも踏まえると6割取ることは容易なのではと考えられます。

 

そう考えると、行政書士試験は簡単に合格できそうですが、実際の合格率は大体10%と低いです。

 

今回の記事では、なぜ行政書士試験の合格率が低いのかについて解説します。

行政書士試験の合格率の推移

 

まずは、現在の試験制度になった平成18年度以降の合格率の推移をご覧ください。

(財)行政書士試験研究センターHP公表の合格率推移になります。

年度申込者数受験者数合格者数合格率
2020年(令和2年)54,847人41,681人4,470人10.70%
2019年(令和元年)52,386人39,821人4,571人11.50%
2018年(平成30年)50,926人39,105人4,968人12.70%
2017年(平成29年)52,214人40,449人6,360人15.70%
2016年(平成28年)53,456人41,053人4,084人9.95%
2015年(平成27年)56,965人44,366人5,820人13.12%
2014年(平成26年)62,172人48,869人4,043人8.27%
2013年(平成25年)70,896人55,436人5,597人10.10%
2012年(平成24年)75,817人59,948人5,508人9.19%
2011年(平成23年)83,543人66,297人5,337人8.05%
2010年(平成22年)88,651人70,586人4,662人6.60%
2009年(平成21年)83,819人67,348人6,095人9.10%
2008年(平成20年)79,590人63,907人4,133人6.50%
2007年(平成19年)81,710人65,157人5,631人8.60%
2006年(平成18年)81,163人70,713人3,385人4.80%

 

 

行政書士試験の合格率が低い理由~行政書士試験で合格点が取れない3つの要因~

行政書士試験の合格基準は6割とその上8割はマークシートでの選択式の問題です。

しかし、令和2年度の合格率も10.7%と10人中9人が落ちています。

ここ3年間の合格率は

  • 令和2年度:10.7%
  • 令和元年度:11.5%
  • 平成30年度:12.7%

となっており、10%代の低いここ最近も低い合格率が続いています。

なお、行政書士試験の合格率について更に知りたい方は次の記事を見ていただければ幸いです。

 
 

しかし、行政書士試験は簡単に合格できると誤解して受験する人が多いことが理由に挙げられます。

私自身も行政書士試験の勉強を開始する前は難しくはないだろうと思っておりました。

なぜなら、300満点中180点取れれば合格できるし、そのうち240点はマークシートだから合格は容易だろうと思ったからです。👈こういう点で見てみると簡単に取れそうな気がしますよね。

また、書店などで行政書士試験のテキストを見てみると最近のテキストは分かりやすく学習も容易であるふうに見えてしまいます。

ただし、実際に行政書士試験の勉強をしてみれば、身をもって理解できます。行政書士試験で合格点を取ることは容易ではありません。

 
行政書士試験で合格点を取ることは容易でない3つの理由

①一般知識等の対策が難しい
②記述式問題の対策が難しい
③基礎法学、商法・会社法及び難問の存在

 
 

 

一般知識等の対策が難しい

行政書士試験で一般知識等の科目が難しく、一般知識等で足切りになり不合格となることもある得ます。

一般知識等は政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解で構成されており、14題56点の配点があります。

300点満点中の56点なので、合否に影響がなさそうに見えますが、一般知識等では足切りがあり24点以上得点できなかった場合は足切りとなりその時点で不合格となります。

24点以上を得点するためには、6問以上得点する必要がありますが、勉強のやり方を誤ってしまうと足切りになってしまう可能性が高くなります。

 一般知識等を攻略する鍵は、「情報通信・個人情報保護」及び「文章理解」にあります。

 ただし、昔学んだことや出題数が7〜8問と出題数が多いことから、「政治・経済・社会」に一般知識等の学習に重点を置かれ、「情報通信・個人情報保護」及び「文章理解」の学習が充分でない場合、足切りとなる可能性が高くなります。

政治・経済・社会」の近年の出題は大学受験レベルの政治・経済・社会を学べば解けるようになるとネットでの情報で見かけることがあります。

 

 確かに調査したところ、近年ではその対策で解ける問題も増えてきましたが、「政治・経済・社会」の過去の出題傾向から過去問を学習すれば得点できるというものではありません。一方で情報通信・個人情報保護や文章理解は学習効果が現れやすく、まずは、情報通信・個人情報保護及び文章理解で得点できるようになることが大切です

大手の資格対策講座を運営しているノウハウの記事でも、政治・経済・社会よりも情報通信・個人情報保護の学習をすることをオススメされています。

「政治経済社会」の分野の対策に重点を置くのが良いように思われるかもしれませんが、実際の優先順位は「文章理解」→「情報」→「政治経済社会」です。
言い換えるならば、「文章理解」が確実に得点できる分野となります。
引用元:【行政書士試験】一般知識で足きりにならないための攻略法 | 行政書士コラム|アガルートアカデミー (agaroot.jp)

一般知識で6問取ることを最低限の目標にして、文章理解で3問、個人情報保護・情報通信で2問、残りを政治・経済・社会から取るようにしましょう。

最も点が取りやすいのが文章理解なので、ここは全問正解を目指してください。具体的な勉強方法は後述しますが、文章理解で3問取れれば後がかなり楽になります。次に点が取りやすいのが個人情報保護なので、文章理解と個人情報保護を重点的に勉強しましょう。
引用元:行政書士試験「一般知識」とは?おすすめの勉強法! (foresight.jp)

②記述式問題の対策が難しい

 行政書士試験には1問20点、行政法1題、民法2題で合計60点分の記述式問題があります。

 行政書士試験の記述式の特徴として、以下の3つが挙げられます。

①40字程度の記述式問題
②部分点がある
過去に出題された問題と同じ問題は出題されたことがない

 

 要注意していただいたいのが③の「過去に出題された問題と同じ問題は出題されたことがない」です。

 行政書士試験は過去に出題された問題が再度出題されないと言われていますが、法令科目の択一式問題では過去問で通用する部分があります。しかし記述式の問題は出題形式になれるトレーニングになりますが、同じ問題が出題されたことがないので過去問の答えを覚えたところで本番で得点できるようなものではありません。

 また、記述式を書けるようになるに解く練習が必須であり、そのためのトレーニングが必要となります。

 記述式で60点、一般知識等での得点することが難しいということであれば、6割の合格点である180点を取るというのが難しそうに見えてきましたでしょうか。

 まず、現時点での説明の段階で、過去問が通用しない得点部分が100点近くあるからです。※内訳は記述式問題プラス情報通信・個人情報保護関連を除く一般知識等問題で算出しました。

そして、行政書士試験で6割とれない理由は他もあります。

③基礎法学、商法・会社法及び難問の存在

法令科目の中でも基礎法学、商法・会社法の対策は難しいです。

 

基礎法学は、2問出題されていますが、1問は難易度が高い問題が出題されがちです。

過去の出題傾向を分析したところ、2問中1問は解答できるような問題が出題される一方で、1問は難解な問題が出題されることが多いようです。

今まで基礎法学で出題傾向ついては詳しく知りたい方は次の記事にまとめてありますので、是非ご覧になってください。

そのため、難易度が高い問題は得点出来たらラッキーというような感じです。

実際に、大手の資格対策講座を運営しているノウハウの記事でも基礎法学で深く学習することはオススメされていません。

基礎法学は出題範囲が広く難解であるため、相当な時間を割いても8点を取るのは難しいでしょう。そのため、基礎法学には深入りせず、場合よっては後回しにしても良いくらいに考えておきましょう。
引用元:行政書士試験「憲法、基礎法学」の勉強方法! (foresight.jp)

基礎法学は過去問や模擬試験や予想問題集を使いながら、繰り返し出題されている論点を重点的に学習していってください。繰り返しになりますが、深入りは禁物です。
引用元:【行政書士試験】基礎法学の攻略法 | 行政書士コラム|アガルートアカデミー (agaroot.jp)

 

また、商法・会社法については条文数が多い割に5題しか出題されていないため敬遠されがちな科目となっています。

商法・会社法を最初から捨てる受験生もいるようですが、おすすめできません。捨てることにより、合格点が取れなくなる可能性が高くなります。

私は、商法・会社法を捨てないながらもある程度学習した効果があって、本試験では運も味方し5問中5問正解できました。

もし、商法・会社法を捨てていたらその年の行政書士試験は落ちていた可能性が非常に高かったです。

商法・会社法の勉強法については次の記事に書いてあります。

私が実践した商法・会社法の学習方法については大手の資格対策講座を運営しているノウハウの記事に書かれているコンパクトの学習ができているので、独学で挑戦されるのであれば是非見ていただければ幸いです。

商法・会社法はコンパクト学習をしていくことが重要となります。
コンパクト学習とは、時間をかけずに頻出テーマを繰り返し学習していくことです。
引用元:【行政書士試験】商法・会社法の攻略法!豊村講師が動画で解説 | 行政書士コラム|アガルートアカデミー (agaroot.jp)

そして、行政法・民法・憲法に少なからずか出題される難問の存在があるからです。

イメージとしては、5肢選択式問題で憲法は5問中1問、行政法は19問中3~4問、民法は9問中1~2問は難しめの問題が出るようなイメージです。

そのため、各科目で満点を取るには難易度が高めとなっています。

商法・会社法を捨てるとなると、民法や行政法で満点を取るような学習をしなければなりません。

当然のことながら、満点を取るための学習は細かな論点やマイナーな判例の知識も得る必要があります。もし、民法や行政法で満点が必須となるようになれば、合格点は取りずらくなります。

 

合格点を取るためにはどんな学習をすれば良いか。

上記のとおり、行政書士試験で合格点が取れなくなる要因として、

 
行政書士試験で合格点を取ることは容易でない3つの理由

①一般知識等の対策が難しい
②記述式問題の対策が難しい
③基礎法学、商法・会社法及び難問の存在

 
 

の3点を紹介しました。

合格点を取るためには、合格点が取れない原因を取り除いて上げればよいのです。

①一般知識等の対策が難しい

⇒政治・経済・社会を中心に対策を考えられているのであれば、まずは文章理解、情報通信・個人情報保護の対策から始めましょう。

文章理解、情報通信・個人情報保護である程度取れるようになり、法令科目でも合格点を取れるようになり、学習に余力があるのであれば、政治・経済・社会の学習に取り組むといったようなイメージです。

独学で学習するのであれば、

まずは本試験の過去問や市販の模試等で出題されている文章理解の問題を解いて得点できるようであれば、対策は不要です。

本試験の過去問1回分ついている市販の模試がおすすめです。

 

 

得点できない場合は、問題の数をこなし解けるようにしていきましょう。

残念ながら独学の場合の文章理解の対策の教材は不足しているため、公務員試験用の文章理解の問題が似ているので活用しましょう。

 
 

②記述式問題の対策が難しい

 記述式問題は当然のことながら、記述する練習が必須です。過去問と同じ問題が出題されたこともないため、もし答えを覚えるのであれば、過去問より記述式の対策教材の答えを覚えるようにしましょう。

記述式対策は問題集は似たような感じです。

私が使用していた記述式問題集は下の教材を使用していました。

③基礎法学、商法・会社法及び難問の存在

行政法・民法・憲法さえなんとかすれば合格できる」と思ってしまうと危険です。

 学習時間の大半は「行政法・民法」に費やすことは誤りでないですが、最初から「基礎法学や商法・会社法」を捨て科目とし、その補填を「行政法・民法」するというのが危険と言うことです。

 

例えるなら、法令科目の選択式で「行政法を19問中19問得点するより行政法で19問中17問、商法・会社法で5問中3問得点する」のであれば、後者のほうが得点も高く、費やす時間も少なく済みます。

 

①〜③で共通して言えることが、学習の仕方を間違えると合格点が取れなくなるということです。

間違った学習をしないためには、
 
行政書士試験で合格点を取るための注意点

①一般知識等の対策が難しい
⇒文章理解>情報通信・個人情報保護>政治・経済・社会の優先順位を守り学習に取り組もう!
②記述式問題の対策が難しい
解かないことには得点できません。問題に取り組みましょう!
③基礎法学、商法・会社法及び難問の存在
基礎法学、商法・会社法は捨てないようにしましょう。難問の出題で行政法、民法を満点で得点するのは難しいです。

 
 

以上となります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 当サイトでは管理人の独学・1発合格の経験を活かした学習方法などを紹介していますので、よろしければ見ていってください。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

 
 
行政書士試験の教材

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